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コンサルティングファームにおける「案件獲得」の流れ

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コンサルティングファームにおける「案件獲得」の流れ

こんにちは。T・Y&Partnersの斎藤です。
コンサルティングファームの組織構造についてご説明させていただく際に、皆さまからよくいただく反応として「営業部門というのは置かれていないんですね?」というものがあります。
結果、コンサルティングファームはどのように案件獲得を行っているのか?については、少々イメージしにくいものになっているかと思います。
今回はコンサルティングファームにおいて、案件がどのように獲得されているのかについて紹介させていただこうと思います。 


案件獲得の責任は誰が担っている?

冒頭「コンサルティングファームは営業部門を置いていない」と述べました。では誰が新規案件の獲得に責任を持っているか?という疑問が浮かびます。
答えとしては、主に「パートナー」や「シニアマネージャー」と呼ばれる、少なくとも経験年数10年以上、概ね15年、20年といったキャリア豊富な人材がつく役職に位置するコンサルタントがその責任を担っています。
したがって、余談ではありますが、コンサルティングファームに入社したばかりの「コンサルタント」や「アソシエイト」は、まだ案件を獲得することを期待されません。

もちろん、パートナーやシニアマネージャーもただ一人で案件獲得に向けて取り組むわけではなく、顧客からの依頼や提案機会(オポチュニティと呼ばれることが多い)を見出すと、その提案の質の向上に必要な専門性を持った人材によって「提案チーム」を組成し、打ち合わせを重ねながら提案活動を進めていきます。
そのような提案チームの中に、コンサルタントやアソシエイトなどの比較的ジュニアな役職の人材が参画すること自体は決して珍しいことではありません。
あくまでも、目標とする営業予算を持っていたり、特定の顧客からの継続的な受注に責任を持っている人はパートナーやシニアマネージャーである、ということになります。

4つの獲得シーン

コンサルティングファームが案件を獲得する際は、細かく見ると非常に多様ではありますが、大きくは下記の4つの方法があると考えられます。

1.継続受注
2.横展開
3.新規顧客開拓
4.入札

それぞれ、依頼側にどういったメリットがあり、どういうケースだと起こりやすいのか等、まとめていこうと思います。

1.継続受注

コンサルティングファームのサービスは極論を言えば、「企業の課題を解決するため」のものですが、当然、課題というのは一朝一夕に解決するわけではありません。一つの課題を解決しようとしたら、また別の課題に直面する、ということもあるでしょう。
そもそも課題によっては「終わり」と明らかに線引きできないようなものもあります。昨今注目されるサステナビリティのような分野はそれに該当するかもしれません。
技術の進歩、制度の変化、世の風潮などに合わせて様々な経営課題が生まれ、それらを解決するためにコンサルティングファームへの依頼がきます。
その際に、過去に自社の課題を解決した実績のあるファームに依頼するケースが【継続受注】です。
多くのコンサルティングファームにとって、案件獲得のパターンで最も大きな割合を占めるのは継続受注です。

特に、売上や市場シェアで業界トップの企業を相手にしているようなコンサルティングファームでは、過去に何らかの支援をした実績があり、既に依頼企業について一定の理解があり、特定部門のキーパーソンと関係性を持っているという背景から、再度依頼を受けるというケースは非常に多くあります。
例えばシステムの改修などが関係してくる案件は、過去にそのシステムを導入したコンサルティングファームであれば仕様や業務フローを理解しているので、依頼内容の理解は格段に速く進みます。
事業戦略や新規事業創出といったテーマだったとしても、過去にその事業部門で実績のあるコンサルティングファームの方が、企業や依頼企業の取り巻く業界に対する理解度が高く、継続して依頼することも自然と多くなります。
また、そもそも基幹システムのリプレースなど、目指す課題の解決に3年、4年という長期間を要することが目に見えている場合、様々なリスク回避策として「構想策定フェーズ」「実行フェーズ」「運用・定着化フェーズ」などのように大きな一つのプロジェクトをいくつかの細切れのプロジェクトに切り分けて受注するも多くあります。
その場合は、よほどの大きな問題に直面しない限り、継続受注がある種織り込み済みというパターンもあります。

2.横展開

社内の別の部門が、依頼企業内の別の部門と取引や実績があり、その際の評価が高いことから、他の部門が抱える課題解決の支援依頼が来るというパターンも多くあります。
例えば、経理部門のDXをA社(コンサルティングファーム)に依頼しており、今度は人事部門のDXも検討しているとします。
その際に、人事部のDX案件もA社に依頼するといったケースが【横展開】です。
内情としては、依頼企業内で紹介してもらえるよう関係強化のために営業活動を行った賜物、という場合ももちろんありますが、多くの場合、依頼企業内で非常に大きな力を持った人材が異動によって別の部門を統括するようになったことで提案機会を得るというケースもあるようです。
また商社や銀行など、一つのグループ内に多様な業種の企業を抱えているような業態の場合は、グループ内の改革派キーパーソンとの人脈は、継続して非常に大きなオポチュニティーを生み出すことになります。
そのため、パートナーの力量を測る指標の一つとして、「人脈」というのも非常に大きな指標となっているように感じます。

横展開の依頼企業側から見たメリットとしては、依頼企業内で複合的な課題の解決や戦略目標達成のために、関連する多様なプロジェクト進行している場合、それらのプロジェクトを一つの「プラグラム」として全社的にマネジメントしやすくなることが挙げられます。
また、部署間の横展開だけでなく、グループ会社間の横展開や、海外現地法人などの別拠点への横展開など、様々なケースがあります。

3.新規顧客開拓

コンサルティングファームの中には、今まで何の取引実績もない新規顧客から案件を受注するための活動は、余り積極的に行わなくても、十分現在のメンバーの稼働を担保できるようなチームもあるでしょう。
しかし、まだまだ発展途上にあるコンサルティングファームや、新しいサービス、インダストリー部門を立ち上げたばかりのステージにある場合は、「新規顧客開拓」をしていく必要があります。

最初に説明したとおり、コンサルティングファームは主に「パートナー」や「シニアマネージャー」が案件受注に責任を持っています。
パートナーやシニアマネージャーが大規模なビジネスフォーラムなどで、セミナーや講演活動を行っている広告を見かけたことがある方も少なくないのではないでしょうか?
また、コンサルティングファームのコーポレートWEBサイトを参照すると、業界動向や技術動向について、多くの記事が執筆されていることが確認できると思います。
こようなセミナーや記事などから、その分野やテーマに関心・問題意識を持つ企業・人材とのネットワークを広げることが、オーソドックスな新規顧客開拓のファーストステップかと考えます。
もちろん、セミナーや広告などで接点を持つこと以外にも、既存顧客からの紹介や、パートナー自身が持っている人脈などをフル活用し、様々な方法で新規顧客を獲得しています。

4.入札

入札とは、複数のコンサルティングファームが同じ課題に対する解決策を提案し、その内容を比較検討して上で、課題を持つ企業が依頼する相手を選ぶ(応札)形式のことです。

入札には特定の民間企業との癒着を防ぐという役割があるため、特に省庁や行政などの公的機関が実施する方法です。

必然的に、公共機関を顧客とすることが多いシンクタンクを中心に、コンサルティングファームの中でも「パブリック」や「ガバメント」と名の付く業界特化の部門では、ほとんどの受注は入札を経て行われるといってよいと思います。

まとめ

ここまで、コンサルティングファームが案件を獲得するまでの一般的な流れを、4つのシーンに分けて紹介させていただきました。
それぞれに依頼企業にとってのメリットや、その方式が取られやすい業界特性などがあり、プロジェクトの内容や企業によって使い分けられていることがお分かりいただけたでしょうか?

コンサルティングファームに案件を依頼することは、依頼企業にとって少なくないお金と時間のかかる大きな決断となります。できるだけ信頼できるコンサルティングファームを、依頼企業内の別部門から指摘されないような適切なプロセスを経て依頼をしたいと考えるのは自然なことです。

終わってみないとその価値がわからないコンサルティングという依頼を受けるとは、決して簡単なことではありませんが、「パートナー」や「シニアマネージャー」を中心に、提案活動を通じて信頼を徐々に強固なものにし、依頼企業内での信頼の積み重ねが、また新しい案件の獲得に繋がり、ひいては、コンサルティングファームの継続的な成長を実現してきたと言っても過言ではないですね。彼らが高い報酬を受け取る理由も、理解できるような気がします…。

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